風景をつくる建物14

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美しいなあ〜と、いつもこの家を見て思う。でも、なぜ美しいのか?考えてみたことはなかった。外から見る限りでのこの家の特徴は、
1、表に向かって閉ざされている。だが完全に閉ざされているわけではなく、吊戸2枚を引き込めば大きな開口部が現れる。ガレージとして使用されているのかも知れないし、光庭のようになっていて家の開口部がこの光庭に面して設けられているのかも知れない。
2、建物は大きくなく、こじんまりとまとまっている。
3、建物は高くない。平屋である。
4、全体の色調は明るくない。ほとんど黒に近い。
5、母屋は薄い切妻屋根で包まれていて、中庭部分は塩ビ波板の片流れ屋根。
6、大きな柿の木が家全体を包んでいる。すなわち、家は屋根と柿の木によって二重に包まれていることになる。
「・・・風景はまず(防御ないし攻撃のための)戦略的な価値をもっていて、それがのちに美的な価値へと変質していったのであろうと思われる。アプルトンは名高い動物行動学者コンラート・ローレンツの研究業績(周知のように動物に関する研究)から直接に着想を得て、眺望/隠れ家という二重の観念を明確にしている。原始人にとって風景は、見られずに(隠れ家)見る(眺望)ことを可能にすればするほど高い価値があったのである。」  日本の風景・西欧の景観(オギュスタン・ベルク著)
これで、この家をなぜ美しいと感じたのか少し理解できたような気がする。この家はタイプとして、典型的な隠れ家なんだ。しかも、見ることを完全にあきらめている隠れ家。
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