

超有名な建築物なので今回もルール違反です。平等院・鳳凰堂、ここもすでに何十回と足を運んだ場所、と言うより、まあ、わたしの庭のようなところです。でも、ここをはじめて訪れた人は、たぶん、「なんだか思っていたのとちょっと違う」と感じるのではないでしょうか。実はこのことが今回のテーマです。極楽浄土の宮殿をモデルにしたと言われる鳳凰堂は、言ってみれば風景建築の代表みたいな建物なのですが、やっかいな代物でもあります。
1)斜めから見ると非常に躍動感に満ちた建物ですが、そもそも真正面から見られることを想定してつくられた建物なので、視点を正面に限定します。
2)一見したところひとつの建物に見えますが、この建物は中堂と左右の翼廊の3つの部分(尾廊はこの際無視します)から成り、この3つの部分は構造的にも別建物となっています。
3)全体はシンメトリーを構成してはいますが、なぜか、たまたま寄せ集められた3つの」断片のようにも見えます。その理由はどうもスケールにありそうです。
4)建物のスケールは、中堂部分のみがかろうじて現実の実存的スケールでつくられていますが(これも完全とは言えないし、建物もさほどりっぱなものではない。唯一、絶対的スケールを持っているのは丈六の阿弥陀坐像のみである)、左右の翼廊はまるでミニチュアのごとくそのスケールは相対的なものです。(中堂の腰屋根を消してしまうとよくわかる)
5)この本来バラバラの3つの断片の寄せ集めが、一見まとまりのある建物に見えているのは、中堂に付いている3枚の腰屋根の働きによります。この腰屋根が実存的スケールと相対的スケールの繋ぎの役目を果しているのです。
6)鳳凰堂が非現実的、不安定、あやうい、ミニチュア、バラバラ、な印象を与えるのは以上のような原因によります。
鳳凰堂は、はたして建物なのか、ミニチュアなのかは分かりませんが、幻想的な風景をつくり出していることだけは間違いありません。
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