
もっとも普通な、どこにでもある京町家です。京町家の特徴は、俗にうなぎの寝床と呼ばれる奥に細長い形状や、通り庭、吹抜け、坪庭、通し柱方式の木組、面格子、季節に合わせた設え、建具・・・・・等々と、いろいろありますが、その中でも一番の特徴が、建物が道路境界いっぱいに建っていることだと思います。言ってみれば京町家は、「道路からいきなりごめんください!」形式なのです。しかし、西欧の建築と違うところは玄関格子戸を入ったところがいきなり部屋だったということはまずありません。そこには通り庭と呼ばれる内部とも外部ともつかぬ空間が存在します。見方を変えれば、通り庭のおかげで建物を道路境界いっぱいまで建てることが可能になったとも言えます。ところが最近の町家リフォームでは、この通り庭部分に床を張って部屋とするケースが多く見うけられます。こうなると実は町家の在り方の意味は根本的に変わってしまうのです。表通りに面した面格子の家構は単なるデザインに貶められ、残るのはデザインとしての町家です。戦後の家族制度の解体によって、農家も商家も制度としての家の部分は無くなりましたが、家の「形式」の部分はまだ健在です。大切なのは町家の「形式」なのです。
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