風景をつくる建物30

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実は、京町家にはもうひとつ別の形式のものが存在します。それは「通り庭」の代わりに、道路と建物の間に小さな「表庭」をもつ形式です。町家の本意は、“コンパクトで豊かな空間”だと思っています。もちろんお屋敷のような町家にはコンパクトという言葉はあてはまらないかも知れませんが、ここではもっとも普通な京町家を対象とします。豊かな空間とは、吹抜けや座敷飾りなどの人工的で見栄えのする空間と、坪庭や中庭に持ち込まれた、好ましい自然などを意味します。コンパクトとは、「形式」を意味します。中2階形式、通り庭形式、表庭形式、通し柱形式などです。限られた敷地で、建物を道路際いっぱいに建てざるを得ないとき、この町家の「形式」が力を発揮します。「通り庭」は、街と家を切り離すために持ち込まれた「間」です。この「間」のおかげで街も家もお互いに拘束されず、自由でかつ豊かであることができます。「表庭」もこれと同じ働きをします。但しこの場合、庭は観賞用ではありませんので、道路に対しては建物外壁のような閉鎖的な塀が欠かせません。
さて、町家の三つ目の形式は? それを考えるのが建築家の仕事なんですよね。
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